国道の改築工事の損失は補償されるか?

国道の改築工事により、民間人に損失があった場合、保証の対象となるのでしょうか?
今回はこの問題について解説します。

事例

Aの経営する店舗前で国道の改築工事があり、路面が数十cm高くなった。
そのため、店舗入口には段差ができてしまい、高齢者から入店しづらいとクレームを受けた。また、売上も下がってしまった。そのため、入り口部分にスロープを取り付けることにした。
この際にかかる工事費用や、工事のために休業する損失は補償してもらえるのだろうか?

回答:受忍すべき範囲を超えていれば損失補償が認められる

国道の改築工事によって生じた損失は、行政の行為によるものです。
一般的には、このような損失は補償されることがあります。例えば、道路法にはスロープの工事に関する補償規定があります。ただし、補償されるかどうかはやむを得ない必要性や社会通念上の受忍範囲によって判断されます。

段差の大きさやお店の構造変更可能性、費用などが考慮され、それが社会通念上の受忍範囲を超える場合には補償される可能性があります。ただし、公共のために作られた国道の形状から水平性を要求することはできないことも理解しておく必要があります。

補償を求める場合は、国道の管理者である国土交通大臣や都道府県と協議を行うことになります。また、補償請求の期限にも注意が必要です。工事完了日から1年以内に請求しなければなりませんので、早めの対応が求められます。

(道路の新設又は改築に伴う損失の補償)

第七十条
土地収用法第九十三条第一項の規定による場合の外、道路を新設し、又は改築したことに因り、当該道路に面する土地について、通路、みぞ、かき、さくその他の工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は切土若しくは盛土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、道路管理者は、これらの工事をすることを必要とする者(以下「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、道路管理者又は損失を受けた者は、補償金の全部又は一部に代えて、道路管理者が当該工事を行うことを要求することができる。

2 前項の規定による損失の補償は、道路に関する工事の完了の日から一年を経過した後においては、請求することができない。

3 第一項の規定による損失の補償については、道路管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。

道路法

まとめ

改築工事による損失の補償は、道路法に規定されている通り、やむを得ない必要性や社会通念上の受忍範囲に基づいて判断されます。
損失を受けた場合は、早めに国道の管理者と協議を行い、補償を請求する必要があります。補償請求の期限にも注意して対応することが重要です。

最後に

今回は国道の改築工事の損失は補償されるかについて解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が道路について学びたい方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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