隣人が境界を越えて建物を建築しはじめた!どうすればいい?

境界に関する問題の代表と言えば、越境です。
今回は、典型的な建築物の越境問題について解説します。

事例

Aの家の隣にある空き地で建築工事が始まった。しかし、その建物がAの土地の境界に侵入していることが判明した。Aは工事を中止させたい。
どのように対処すべきか?
そして、もし建物が完成してしまった場合はどうすべきか?

回答:完成後でも撤去請求はできるが完成前に阻止しましょう

まず、隣人が勝手に他人の土地を使うことはできません。Aが土地の所有者である限り、その土地を支配する権利を持っています。しかし、もし隣人がAの土地上に建物を建てることを許可されていたり、契約を交わしていた場合には、中止を求めることはできません。この場合、契約内容を確認する必要があります。

もし建物が完成してしまった場合でも、原則として撤去を求めることができます。所有権が侵害されている場合は、隣人に対して侵害を排除するように請求することができます。ただし、民法にはこの問題に関して以下のような規定があります。

(境界線付近の建築の制限)
第234条

  1. 建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない。
  2. 前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から1年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる
民法

つまり、建物工事着手後は時間との勝負となります。タイムリミットは工事着手から1年です。また、完成後は手遅れなので損害賠償請求のみ可能です。
また、越境の程度がさほどのものでなければ、請求自体が権利の濫用とみなされる可能性もあります。

したがって、建物が完成する前に阻止することが望ましいです。建築中に申し入れても、相手が聞き入れない場合は建物が完成してしまう可能性があります。具体的な手続きとしては、裁判所に仮処分の申立てをして、隣人に対して越境をやめるよう命令を出してもらうことが考えられます。

このように、隣人が境界を越えて建物を建築しはじめた場合は、早めに対処することが重要です。しっかりと法的な手続きを踏むことで、問題解決に向けた道筋をつけることができます。

まとめ

境界を越えた建築問題は、所有権や契約内容など法的な側面から注意が必要です。建物が完成する前に問題を解決することが望ましいため、早めの対処が大切です。裁判所に申立てを行うなど具体的な手続きを踏むことで、適切な対応が可能です。建築工事には時間制限があるため、注意深く対応することが重要です。

最後に

今回は隣人が境界を越えて建物を建築した場合の対処について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が道路について学びたい方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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