土地境界の確定訴訟における賃借人の立場

土地の境界に関する問題は、土地の所有者のみではなく賃借人にも降りかかる場合があります。
今回は、境界確定訴訟における賃借人の立場について解説します。

事例

Aの隣地に居住するCは、隣地所有者Bから隣地を借りて建物を建てている。
ある日、CがAの土地に食い込んだところに建物を建てて使用し始めた。
しかし、Aの土地とBの土地の境界が明確ではない状態なので、この際、境界をはっきりとさせた上で建物を撤去させたいとAは考えている。
なお、Bは遠隔地に居住しており裁判をするには不便である。
この場合、Cを相手に訴訟を起こすことは可能か?

回答:CではなくBに提訴しなければならない

隣地との境界に関するトラブルは、所有権の境界を明確にするだけでなく、地番の境界を明確にする方法もあります。
ここでは、地番の境界を明確にする方法について検討します。

土地の境界を確定するための訴訟は、それぞれの土地の所有者にのみ行うことができます。
したがって、Aが自分の土地と隣地との境界を確定させるためには、土地の賃借人であるCではなく所有者であるBに対して訴訟を提起する必要があります。

Cを相手に訴訟を起こしたい理由が、Bが遠隔地に住んでいて面倒だから、という場合でも心配はありません。
確かに訴訟は、相手方の住所地を管轄する裁判所に提起するのが原則です。
しかし、不動産に関する訴訟の場合、問題となっている土地を管轄する裁判所に対して提起することができます。
手続の開始‐訴えの提起 | 裁判所 (courts.go.jp)

境界線を確定する訴訟も、不動産に関する訴訟です。そのため、Bが遠隔地にいたとしても、Bの住む住所地を管轄する裁判所に訴訟を提起する必要はありません。Aの土地を管轄する裁判所に提起すればよいのです。

まとめ

土地の境界問題は、所有者だけでなく賃借人にも影響することがあります。
隣地所有者から土地を借りている賃借人が、隣地境界に関する問題に巻き込まれた場合、境界確定訴訟においては所有者である隣地所有者に対して提訴する必要があります。所有権の境界を明確にするための訴訟は、土地の所有者である隣地所有者に対して行うことが法的に定められています。裁判手続きは提訴地の管轄裁判所で行われるため、隣地所有者が遠隔地に住んでいても問題ありません。賃借人の場合でも、所有者と同様に法的保護を受けられますが、土地の所有者との契約によって権利や義務が異なる場合があります。訴訟手続きにおいては、適切な法的アドバイスを受けることが重要です。

最後に

今回は境界確定訴訟における賃借人の立場について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が境界関係について学びたい方の参考になれば幸いです。

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