ドローンの特定飛行と飛行カテゴリー

航空法において、無人航空機の特定飛行を行う際には、国土交通大臣の許可や承認が欠かせません。
これには、飛行経路や飛行方法が特に制約のあるカテゴリーⅠ、Ⅱ、Ⅲの3つのカテゴリーが存在し、それぞれ異なる許可・承認手続きが必要です。

今回は、この飛行カテゴリーについて解説します。

特定飛行に該当する飛行

以下の空域を飛行する場合、飛行許可申請が必要です。

【画像出典:国土交通省HP

このうち、緊急用務空域とは、消防救助、警察業務その他の緊急業務を行うための航空機の飛行の安全を確保するために、国土交通大臣が無人航空機の飛行を禁止する空域のことです。
緊急用務空域は、災害時等において、緊急用務を行う航空機の飛行が想定される場合に指定されます。日常的には緊急用務空域という空域は決まっておらず、災害発生時に指定されます。指定された場合は国土交通省HPの無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールで公表されます。

また、どの地域が人口集中地域や空港等の近辺に該当しているかについては、ネットの国土地理院地図で容易に調べることができます。

カテゴリー概要

カテゴリーⅠ

特定飛行に該当しない飛行で、航空法上の飛行許可・承認手続きは不要

カテゴリーⅡ

特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じたうえで行う飛行(=第三者の上空を飛行しない)

カテゴリーⅢ

特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じないで行う飛行(=第三者の上空で特定飛行を行う)

カテゴリーの判別フロー

【画像出典:国土交通省HP】

飛行許可・承認の手続き

カテゴリーⅠ

特定飛行に該当しないため、手続きは不要です。

カテゴリーⅡ

航空法において、特定飛行の中でも特に厳格な制約が課せられるのがカテゴリーⅡ飛行です。このカテゴリーに該当する飛行では、空港周辺や150m以上の上空、催し場所上空、危険物輸送、物件投下、および最大離陸重量が25kg以上の無人航空機の飛行に対しては、慎重かつ具体的な手順が求められます。

  • 立入管理措置の必要性: 上記の条件に該当する飛行においては、立入管理措置を講じた上で、無人航空機操縦士の技能証明や機体認証の有無を問わず、個別に許可・承認を受ける必要があります。
  • 特定条件下の例外: ただし、人口集中地区上空、夜間、目視外、および人または物件から30mの距離を取るような特定の条件下では、立入管理措置を講じた上で、無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合、飛行マニュアルの作成などの安全対策を講じることにより、許可・承認を不要とすることが可能です。
  • 夜間および目視外の飛行: 夜間および目視外での飛行を行う場合、それぞれの特例においては、技能証明の限定変更が必要となります。

この飛行マニュアルは、無人航空機を飛行させる者が安全性を確保するために必要な事項を具体的に盛り込んでおり、その内容や形式は飛行の実態に即して作成され、これを遵守することが義務づけられます。これ以外の場合においては、個別に許可・承認を受ける必要があります。

カテゴリーⅢ

カテゴリーⅢ飛行は、有人地帯における補助者なしでの目視外飛行を含む特定飛行の中でも、さらなる安全対策が求められるケースです。このカテゴリーに該当する飛行では、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合、運航の管理が厳格に行われ、特定の条件を満たす必要があります。

  • リスク評価に基づく飛行マニュアルの作成: 飛行の形態に応じたリスク評価結果に基づく飛行マニュアルの作成が必要とされます。これには、有人地帯での目視外飛行に伴う特有のリスクを詳細に評価し、それに基づく対策が含まれます。
  • 適切な運航管理: 運航の管理が適切に行われていることが確認された場合に限り、許可・承認が与えられます。これには、飛行計画、安全対策、緊急時の対応策などが含まれます。

このような要件をクリアすることにより、カテゴリーⅢ飛行が許可され、無人航空機が安全にかつ適切に運航されることが期待されます。

飛行マニュアルの作成

国土交通省がウェブ上で飛行マニュアルのフォーマットを公表しています。
この書式を使用し、必要事項や整備記録を記入して作成します。

最後に

今回はドローン飛行におけるカテゴリーについて解説しました。
ちなみに、この記事を執筆している令和6年1月現在では能登半島の地震の影響で石川県に緊急用務空域が設定されています。一刻も早く石川県が復興し、全国から緊急用務空域が無くなる日が来ることを祈るばかりです。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事がドローン飛行許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。

また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧くだ さい。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

なお、業務に関するお問い合わせは、下記のお問い合わせフォームからいつでもどうぞ。
お問い合わせ - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です