空き家問題を解決するための一手!空き家バンクの仕組みとは?

日本全国に広がる空き家問題は、我々の社会にとって重要な課題となっています。
空き家は地域社会の活性化を阻害し、景観を損ない、安全上のリスクをもたらします。
しかし、これらの空き家は、適切に管理・活用されることで、新たな価値を生み出す可能性を秘めています。
この記事では、空き家問題の概要及び解決策の一つである空き家バンクについて詳しく解説します。
この記事を通じて、空き家問題とその解決策である空き家バンクについての理解を深め、我々一人ひとりが地域社会の活性化に貢献できることを願っています。
それでは、一緒に空き家問題の現状とその解決策を見ていきましょう。

「住宅・土地統計調査」による空き家の定義

総務省が5年に1度、居住世帯の有無に関わらず、住宅ストックの状況を調査している「住宅・土地統計調査」では、空き家の種類を下記のように4分類し、推計を行っています。

賃貸用の住宅

新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅

売却用の住宅

新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅

二次的住宅

別荘:週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅
その他:ふだん住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊まりするなど、たまに寝泊りする人がいる住宅

その他の住宅

上記以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など一般の個人用の住宅で、所有者の死亡や転居等により、使用されないまま空き家となっている住宅については、上記のうち「4. その他の住宅」に分類されます。

空き家数の推移

空き家の数は過去最高を記録

平成30年に実施された住宅・土地統計調査を見てみましょう。(令和5年にも調査は実施されましたが、結果はまだ公開されていません)
総住宅数を居住世帯の有無別に見ると、居住世帯のある住宅は5,361万6千戸(総住宅数に占める割合85.9%)、居住世帯のない住宅は879万1千戸(同14.1%)となっています。
居住世帯のない住宅のうち、空き家は848万9千戸と、2013年と比べて29万3千戸(3.6%)増加しています。また、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%と、2013年から0.1ポイント上昇し、過去最高となっています。

【参考資料:平成30年住宅・土地統計調査

空き家の内訳

空き家の内訳を見ると、「賃貸用の住宅」が432万7千戸(総住宅数に占める割合6.9%)となっており、「売却用の住宅」が29万3千戸(同0.5%)、別荘などの「二次的住宅」が38万1千戸(同0.6%)、そして「その他の住宅」が348万7千戸(同5.6%)となっています。
2013年と比べると、「賃貸用の住宅」が3万5千戸(0.8%)増加、「売却用の住宅」が1万5千戸(4.9%)減少、「二次的住宅」が3万1千戸(7.5%)減少し、「その他の住宅」が30万4千戸(9.5%)増加しています。

こうした背景により、2014(平成26)年11月27日、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、「空家対策特別措置法」といいます)が公布されています。この法律では「空家等」について次のように定義しています。
「空家等とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着するものを含む。)をいう」(同法2条1項)。
つまり、本法にいう「空家等」とは住宅に限定されたものではなく、 さらに、附属する工作物や立木なども含めたものとなっています。

また、「使用がなされていないことが常態である」については、明確な基準はありませんが、空家対策特別措置法5条1項に基づいた基本指針として国土交通大臣および総務大臣が定めた「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針(平成27年2月26日総務省告示・国土交通省告示第1号)」では、1つの目安として「例えば概ね年間を通して建築物等の使用実績がないことは1つの基準となると考えられる」とされています。

地域差のある空き家率の現況

都道府県別にその割合を確認してみると、最も空き家率が高いのは山梨県で21.3%です。また、最も少ない県は埼玉県で10.2%となっており、地域差は最大で11.1%となります。

空家対策特別措置法上の「特定空家等」

空家対策特別措置法にはもう1つの重要な定義があります。 それは 「特定空家等」です。
ここでは、法にいう「空家等」のうち、法2条2項により、以下の状態にあると認められる 「空家等」 であると定義されています。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
つまり、特定空家等は、空家の中でも周辺環境への悪影響が深刻な状態のものを指し、本法による行政措置の対象となります。

空き家急増の理由

戦後、日本は未曾有の住宅不足となり、住宅供給が進められました。昭和40年代には若干ではありますが、住宅数が世帯数を上回る状態になりました。この時点で統計上の空き家の発生が確認されます。その後、住宅数と世帯数の差がますます広がっており、現在に至っています。
それでは、すでに世帯数に対する住宅数は満たされているので新たな供給は必要ないのかといえば、そうではありません。消費者の世帯構造やニーズも多様化しており、それに応じた新たな住宅も必要となりますし、住宅市場全体をみれば、耐震性能や省エネルギー性能の高い住宅を供給し、住宅ストックの質の向上を図っていく必要があります。これは、市場が消費者の選好やライフスタイルの変化に対応しようとする経済原則を反映しています。
前述した「その他の住宅」、つまり一般の個人用住宅については、住まい手が減ることで、必然的に空き家となる住宅が増えることになります。空き家数としては最も数が多い「賃貸用住宅」についても、同様に人口・世帯数の影響は受けますが、これについては、バブル期や、その直後に行われた生産緑地法の改正時に大量に供給された物件が現在では築20年超となり、空き家(空き室)が発生しているのも要因といえます。
さらに、「その他の住宅」や「賃貸用住宅」の空き家増加は、人口や世帯数の変動、物件の供給過剰、物件の老朽化など、複数の要因によって引き起こされています。これらの要因は、住宅市場だけでなく、広範な経済環境にも影響を及ぼします。

未管理の空き家の問題点

未管理の空き家が増加することにより、さまざまな問題が発生します。
空き家が管理されずに放置されている場合、庭に雑草が生い茂り景観を悪化させるだけでなく、隣家にも雑草が浸食し、相隣問題にも発展します。また、ゴミの不法投棄や火災を誘発したり、犯罪に使われたりするなどのケースもあります。
このような問題が発生すると、仮にその隣接する住宅を売却または賃貸しようとした際、市場価値に悪影響を及ぼす可能性もあります。しかし、このような悪影響は、「空き家が増える」ことによるものではなく、「管理されていない空き家が増える」ことによる影響です。
空き家が増えること自体は、必ずしも悪いことではありません。空き家をうまく利活用して外部から人を呼び込んだり、地域のコミュニティの場として活用できる可能性もあります。また、「二地域居住」などの多様なライフスタイルを実現するためにも、一定の空き家ストックは必要となります。

空き家管理の新たな方法

空き家について、活用の予定がないケースや、将来、所有者自身や親族等が住む予定があるケースでは、所有者自身や親族等が管理しているケースが多く見られます。具体的な管理に関する作業としては、近隣の迷惑にならないように、敷地周辺の清掃や庭の草木の管理、空気の入れ替え(意外なことに、これをしないと家屋は光の速さで荒廃していきます)、室内の清掃、郵便物の確認・回収などを行うことが必要になります。
しかし、定期的な管理を行っていくことは所有者自身や親族等に負担がかかります。
このため、将来の売却や賃貸を想定している場合には、できるだけ資産価値が落ちないように管理していくことが大切となります。そのような場合、空き家管理サービスを提供している管理業者や不動産業者に管理を依頼することが考えられます。
管理会社や不動産業者では、管理サービスの提供と合わせて、売却や賃貸を行うにあたってのアドバイスや、売却・賃貸を行う際の仲介業務、賃貸であれば入居者の募集やその後の管理までの相談が可能となります。
不動産業者以外にも、NPO法人なども協力して、空き家の適切な管理や再活用の提案を行っています。
また、空き家管理サービスを提供している業者の比較サイトなどもありますので、参考にすることを推奨します。
【2023年】おすすめの空き家管理代行サービス4選!比較に役立つポイントを解説 (akisapo.jp)
意外なことに最近では東京ガス等のガス会社でもサービスを提供しているようです。
なお、費用については5000~15,000円がボリュームゾーンとなっています。

空き家バンクとは

空き家バンクは、空き家を売りたい・貸したい所有者が物件を登録し、その情報を発信して買いたい人と売りたい人をマッチングさせる仕組みです。
全国の 空き家バンク から物件を検索【アットホーム 空き家バンク】 (akiya-athome.jp)

空き家バンクを運営している自治体等は、農山間部を多く抱えた地方部や市町村が、空き家問題の解消や再生、まちづくりの一環として、空き家の情報を集約し、有効活用や再活用を図るために設けられています。
そのような地域にある空き家は一般の不動産市場の中で取引されるのは難しい状況にあります。
一方で、そのような地域でいわゆる「田舎暮らし」をしたいというニーズもあります。そうしたニーズと空き家をマッチングさせ、定住促進・地域の活性化を図ることが「空き家バンク」の機能です。また、埼玉県飯能市や大阪府堺市などは地域の宅建協会などの団体と協定を結び、官民一体となって取り組んでいます。
宅建協会等との協定 堺市 (sakai.lg.jp)
実際にマッチングが成立した後は、空き家の売買や賃貸借の契約が行われます。宅地建物取引業法上、自治体が関与するのはマッチングまでとなります。
その後の契約は、当事者間で直接契約を行うか、不動産会社が仲介に入ることになります。

行政書士に相談するという選択肢

行政書士はあらゆる行政手続きの専門家であるため、空き家問題に対して様々なサポートをすることができます。
一例をあげると、以下のようなことが可能です。

相続問題のサポート

行政書士は、相続人を確定し、空き家対策を早期に実施することができます。具体的には、遺言書や遺産分割協議書、契約書の作成を通じて、早い段階で空き家対策を実施することのできる相続人を確定することができます。

助成金の活用法

行政書士は、建物の取り壊しに関する助成金の存在や活用法についてのアドバイスを提供します。多くの自治体で補助金制度を設けており、これらをうまく利用できれば、実質的な負担は最大、半分程度で済む場合もあります。

売却手続きのサポート

行政書士は、空き家の売却に関連する様々な相談や手続きを請け負います。具体的には、相続や法律、税金などの専門知識が必要となることが挙げられます。また、行政書士は空き家対策や空き家の利活用において、所有者個人の手続きをサポートするだけでなく、行政や福祉を巻き込んでの空き家対策の仲介役としても活躍することができます。

最後に

今回は空き家問題について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が空き家問題について学びたい方の参考になれば幸いです。

また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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